簡単に出来る160mスローパー用直下型チューナーの製作      JA1ANR 石原 孝友




 【アンテナの選択 】

160mをはじめるのに送信アンテナはスローパーかタワードライブしか選択肢は
ありませ んでした。
給電部の低いタワードライブは住宅密集地では問題があるのではないかと敬遠し
給電部の高い位置のスローパーにしました。


エレメントの調整にはアンテナアナライザ MFJ-259B を使います。角度や地上の高さを変えたりして調整も慣れてきたのでSWRを 1.5 まで下げることが出来ました。
今まではこれでOKとしていましたがスローパーは雨の日や雪の日など天候の変化や経年変化によって周波数もインピーダンスも変わります。
その都度外庭に出てエレメント調整するのも面倒なことです。
そこで今回製作したのがシャックで調整できる直下型リモートチューナーです。
直下型チューナーのニーズ 以前から何とかアンテナ直下で1kW用のチューナーを取り付けてシャックでチューン をとりたいと思っていました。
市販品のチューナーはシャックでリニアアンプと同軸ケー ブルのマッチング用
に使いますが、見かけのSWRが下がるだけでアンテナ直下のマッチングには余り役立ちません。(給電部に高電圧が発生する可能性があります)

今回のチューナーはT型で作りました。
製作に使用した部品はバリLと真空バリコンです。
屋外常設使用になるので耐圧に十分に余裕を持たせることにしました。
真空バリコンは Jennings 製です。入手したバリLにはリミットSW付です。
真空バリコンにも直動するレバーが付いていましたので両サイドエンドにリミット SWを取り付けました。
今回は160m専用に製作しました。モノバンドで使うだけなら移動量は少な いので
リミットスイッチは必要ないと思います。

【高耐圧セラミックコンデンサ】
酸化チタンの円板型ネジ付(ドアノブ型)を使います。
この種の部品を作るメーカーも少なくなってい ますので入手するのは難しく
なっています。重要な部品ですので信頼度の高い新品をメー カーの日東電磁に
注文しました。製品名(ニットーコン)です。

【真空リレー】
Jennings 製を使用しました。

チューナーをOFFにしてエレメント長を調整する必要もあるので2回路2接点を使用
しました。(ダイオードでサージ保護も施します)


【駆動用モーター 】
モーターはステッピングモーターも考えましたが、今回は製作が簡単なレバーシブル ギヤードモーターを使いました。
オリエンタルモーターの通販専用サイトで仕様も分かり易くて便利でした。

【フレキシブルカップリング】

USA 製バリLと真空バリコンは軸がインチサイズですのでそれ用のフレキシブルカップリングが必要です。(入手した現物に合わせる)フレキシブルカップリングの購入先はNBK の通販です。(製品名はカプリコン)

シャフト径はノギスで正確に測ってください。NBKではミリ表示になっています
(例 1/4inch=6.35mm 3/8inchi=9.525)

(ノギスは 1mm の目盛ですがバーニア目盛で 1/20mm まで測れます。)

写真はバーニア目盛7つ目(0.05×7=0.35)が上の目盛と合っています。
従って 6+0.35 ですから 6.35mmを読み取っています。




 


【防水ケース】

ケースはタカチ電機工業のプラスチック製防水型を使用しました。取り付け
ベース板が木、 プラスチック、鉄板の3種類があります。軽いプラスチック板を
選びました。最近、マスト取り付け用金具も新製品で追加されました。
これは大変に 便利で助かります。通販などで入手出来ます。


【コントローラ】
コントローラ- と言ってもステッピングモータを駆動する訳ではないので簡単です。

レバーシブルモータで正逆回転させるだけです。バリ L 用と真空バリコン用共に
トグルスイッチの6P(ON)―OFF―(ON)中立タイプを使います。
真空リレー切替用に12V 電源 とトグルスイッチが一個必要です。


トグルSWと本体のモーターにそれぞれサージ保護用のCRを付けます。



【加工・組立て】

加工・組立てで一番重要なのはモーターの軸センターの高さ合わせです。
オリエンタルモータ社では取付け金具もオプションで販売しています。
これを利用しても基準にしなければ ならないのはバリLと真空バリコンの軸のセンターです。平らな台の上でシャフトの高さを正確に測って取り付け金具の
ネジ穴をあけます。金具はアルミのLアングルを使いました。
真空バリコンはグランドに落としませんのでシャフトを絶縁する必要があります。
カップ リング2個の間にベーク棒を入れました。

バリ L はグランドに落とします従ってコンデンサは直列になります。入力側を固定し出力側をVVCで可変しまし た。

【調整、動作確認】

調整は簡単! いきなりタワーの上に取り付けて調整はしません。
コントロールケーブルを実際の長さで両端にコネクタを取り付けて誤配線のないことを確認します。
シャックで出力側にダミーロードを接続し入力側にMFJ259Bを1820Khz に合わせます。真空バリコンを中間くらいの位置に してバリLを回します。ディップし始めたら大体の同調点付近です。真空バリコンで追い込んでいくと 1.0 までディップします。
簡単です! 次に1kW連続(2~3分)の耐電力試験をします。どの部品からも発熱がないことを確認します。真空リレーがほの暖かい熱を感じましたが、
これはコイルからの発熱でした。
バリ L と真空バリコンはこの位置でタワーに取り付けてOKです。
総重量は 10Kg をオーバーしましたのでケースの上側面の両側にデベロープでステー を取りました。

【運用】

タワーに取付てシャックで同軸切替器(BIRD 74)で MFJ259B に切り替えて VSWR
を測ります。

写真はタワーに取り付けて調整の取れた MFJ1295B です。私は運用前に異常が無いことを確認のために VSWR を毎回必ず見ることにしています。
毎回ほんの僅かですが変化していますが大きく外れていなければ運用には問題ありません。

尚、リニアアンプの出力端子とチューナー入力側に5kWのコモンモードフィルタを入れています。

受信アンテナは2ターンのループアンテナを使用しています。




【部品リスト】

□ 防水型プラスチックケース (タカチ電機工業) 350x450x200 BCAP354520G 1個

□ アルミ傾斜ケース (タカチ製) TS-1 1 個

□ 真空バリコン 1000PF 10kV(Jennings) 1 個

□ バリ L 20μH 1個

□ 高耐圧セラミックコンデンサ RF-80S 500PF 12KV 1 個

□ レバーシブルモータ AC100V 1W 0RK1GN-AW2J (オリエンタルモーター) 2 個 減速ギヤヘッド 0GN75K シャフト径=5mm 2 個

□ フレキシブルカップリング 要サイズ確認(NBK) MJT-20 タイプを使いました

□ コントロールケーブル キャップタイヤ13芯 (オヤイデ)

□ 防水コネクタ 12P オス・メス NJW2012PF8 NJW2012RM(七星科学研究所)各 1 個

□ 真空リレー 12V用 2個

□ テフロン板 5mm 厚 10mm 厚 300 角 各1枚


完成したチューナー